のある者がチヤンと周つて居る、(拍手起る)恰も親が家を造つて呉れたから子息の代になつて家賃を取ると同じで、屋根が剥れる、地震で曲る、それを手入さへすれば年々千圓百圓の家賃が取れる、前の政府の賜物の三百五十萬圓と開墾した富がチヤンとございますから、今は利益を取る計りになつて居りますから、僅か修繕費を二萬圓一年に掛ければ二十萬圓取れる許りになつて居るのを之を破壞する、諸君能く私は御訴へ申す積りでございますれども何分疲勞致して居りますから嘸御聽き苦しうございませうが、左樣な次第でございまして、一體此堤防に對する政府の責任と云ふものは復舊の工事をするにあるのです。

     △堤防取崩の命[#「堤防取崩の命」に丸傍点]

 人民は其村に居つて納税兵役の法律上の義務、其他吾々社會に大なる利益を與へて何も罪のない人民がそこに居る、是に堤防を築かないで三十五年以來原形に復することをしないで居つて、さうして人民を困らせて――困らせに困らせて責めて往つて、此度此麥を苅らずに明日村を立退けと云ふ、それも今蒔いて居る麥を取つて食べたいと云ふので細い堤防を築いてなりともやつて居る、其工事に對して不埒だから其
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