、印刷屋の強談判に低頭平身せねばならず金方を見付けに走り廻るなど、それは/\地獄の修羅道を見るような気味のよい話がタント沢山あるんですよ
『中途ヘコタレ全集』 競争戦場に起って、ハヤ既にモロクもヘコタレて了ったのが数種あり、遣り切れなくて他へ譲ったり、債権者に取られたのが七八種あり、昨今青息吐息で維持策を講じて居るのが三十種ほどあり、味方の脱陣、糧食の欠乏、馬倒れ、刀折れ力尽きて此十二月末頃限りにヘコタレるのが少くも五六種、多ければ十種以上はある筈、間諜の手柄、分捕の功名で、トドの大詰まで首尾よく仕遂げて凱歌を奏するものはマー三四割であろう、社会を活舞台なりとすれば此長演大作の円本混乱戦は、餓死、切腹、討ち死、討たれ死の多い死屍累々、惨劇の珍たるものである、大当り/\
去月末の計画で近く発表の死んだ『気どりや全集』や旧版丸抜の『思想善導全集』などという愚なものは『中途ヘコタレ全集』の仲間入りをしないにしても、『予想裏切全集』の一たることを保証する(甲は其全集で二十万円以上儲けねばならぬ内情であり、乙は札付男のやる仕事であるからだよ)
『紙屋踏倒全集』と『発行元夜逃全集』は、既に『中途ヘコタレ全集』が実行した事であり、尚今後も引続き其仲間入りをせんとて、昨今仕度最中の者が多い、これも予言的中疑う可からずであろう
以上は一年半前の予言が的中した事であるが、今度本書の記事中で予言してある事も亦的中するであろう

コケがモト
諸新聞紙上に大広告の出る書籍や雑誌は、有益な良書であり良雑誌であると思うコケ共の多いに呆れる、事実は正反対であるぞよ、百中一二の例外はあるが、概して誇大な文句を並べた大広告を出すものは、世間の俗衆を欺瞞せんとするヤシ的出版屋のヤクザ本や紙屑雑誌ばかりで、権威ある実着の良書や有益な雑誌類は、新聞紙上に小広告をも出さないのが多い、それは広告文の大小で良否を決定するような批判力のないコケ共が多いからである、向来は気を付けて、一頁大の広告をする本や雑誌は一切買わない事にするがよい、さすれば自然とヤシ的出版屋が退治されて、マジメな良書や有益な雑誌が新聞紙上の広告に顕れれて来る事になるぞよ、敢て無智のコケ共に告げる

円本総マクリの自跋
時は先月下旬、仙台放送局の懇請に応じて同市に到り、二十五日夕「昭和の御大典奉祝を如何に記念すべきや」二十六日夕「ゆかしなつかし宮
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