わしていたと思われる。
 かようにして、奈良朝には後世の仮名の一つ一つに相当する四十七の違った音があったことが、その万葉仮名の類別の上から知られるのであるが、仮名には以上四十七のほかになお濁音の仮名があって、清音の仮名と区別せられている。奈良朝の万葉仮名においてはどうかというに、例えば、「まで(迄)」の「で」に当る部分には「弖」「※[#「※」は「低」の右側、132−9]」「田」「低」「※[#「※」は「にんべん(イ)+弖」、132−9]」「泥」「※[#「※」は「泥」の下に「土」、132−9]」「提」「代」「天」「庭」「底」等を用い、「そで(袖)」の「で」の部分には「※[#「※」は「低」の右側]、132−10]」「弖」「低」「田」「泥」「提」等を用いているのであって、これらの文字を、「て」にあたる一類の文字、例えば「てる(照)」の「て」に当る部分に用いられた「弖」「提」「※[#「※」は「低」の右側、132−12]」「底」「天」、助詞「て」に用いられた「天」「弖」「提」「代」「※[#「※」は「低」の右側、132−13]」「帝」などと比較するに、その間に共通の文字が甚だ多く、到底「て」の類と「
前へ 次へ
全70ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
橋本 進吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング