フで、不穏当なものや不統一な所もある。(昭和十六年二月校訂の時しるす)[#()部分は行の最下部におく]
本書は昭和十二年五月内務省主催第二回神職講習会における講義を速記したものであって、昨年三月|神祇院《じんぎいん》で印刷に附して関係者に頒布《はんぷ》せられたが、今回|書肆《しょし》の請により同院の許しを得て新たに刊行したものである。前回はかなり手を加えたが、今回は誤字を訂正したほかは、二、三の不適当な語句や用字法を改めたのみである。
  昭和十七年三月 橋本進吉[#「橋本進吉」は行の最下部におく]
[#著者注ここまで]
[#ここから本文より十字程度下げ小文字]
刊行委員附記 この昭和十七年のはしがきは、明世堂刊行の際、巻首に掲げられたものである。今かりにここに移す。
[#字下げここまで]

附録 万葉仮名類別表

[#底本では、同じ仮名の各類を、行頭に置いた仮名の後で「{」を用いて括っている。また、同類の清音と濁音の行の下に、まとめて「甲類」「乙類」等の類別を記している。]
エエキ〔清音〕支岐伎妓吉棄弃枳企耆祇祁・寸杵服来 甲類
キ〔濁音〕藝岐伎儀蟻祇※[#「※」は「山+耆」、116−5] 甲類
キ〔清音〕帰己紀記忌幾機基奇綺騎寄気既貴癸・木城樹 乙類
キ〔濁音〕疑擬義宜 乙類
ケ〔清音〕祁計稽家奚鷄※[#「※」は「鶏」の左側に「ふるとり(難の右側)」、116−8]谿渓啓価賈結・異 甲類
ケ〔濁音〕牙雅下夏霓 甲類
ケ〔清音〕気開既※[#「※」は「のぎへん(禾)」に「既」、117−1]概慨該階戒凱※[#「※」は「りっしんべん(情の左側)+豈」、117−1]居挙希・毛食飼消笥 乙類
ケ〔濁音〕宜義皚※[#「※」は得の右側、117−2]碍礙偈・削 乙類
コ〔清音〕古故胡姑※[#「※」は「しめすへん(示)+古」、117−3]枯固高庫顧孤・子児小粉籠 甲類
コ〔濁音〕胡呉誤虞五吾悟後 甲類
コ〔清音〕許己巨渠去居挙虚拠※[#「※」は「くさかんむり+呂」、117−5]興・木 乙類
コ〔濁音〕碁其期語馭御 乙類
ソ〔清音〕蘇蘓宗素泝祖巷嗽・十麻磯追−馬[#「追−馬」で一つのよみ] 甲類
ソ〔濁音〕俗 甲類
ソ〔清音〕曾層贈増僧憎則賊所諸・其衣襲※[#「※」は「膂」の異体字で「月」が「肉」になる、117−9]彼苑 乙類
ソ〔濁音〕叙存※[#「※」は「ほとぎへん(缶)+尊」、117−10]鋤序茹 乙類
ト〔清音〕刀斗土杜度渡妬覩徒塗都図屠・外砥礪戸聡利速門 甲類
ト〔濁音〕度渡奴怒 甲類
ト〔清音〕止等登※[#「※」は「登」に「おおざと」、118−2]騰縢臺苔澄得・迹跡鳥十与常飛 乙類
ト〔濁音〕杼縢藤騰廼耐特 乙類
ノノヒ〔清音〕比毘卑辟避譬臂必賓嬪・日氷檜負飯 甲類
ヒ〔濁音〕毘※[#「※」は「田」の右側に「比」、118−7]妣弭寐鼻彌弥婢 甲類
ヒ〔清音〕非斐悲肥彼被飛秘・火乾簸樋 乙類
ヒ〔濁音〕備眉媚縻傍 乙類
ヘ〔清音〕幣弊※[#「※」は「敞」の下に「犬」、118−10]蔽敝平※[#「※」は「かわへん(革)+卑」、118−10]覇陛反返遍・部方隔重辺畔家 甲類
ヘ〔濁音〕辨※[#「※」は「鼓」の下に「卑」、118−11]謎便別 甲類
ヘ〔清音〕閇閉倍陪杯珮俳沛・綜瓮缶甕※[#「※」は「瓦」の右に「缶」、119−1]※[#「※」は「ほとぎへん(缶)」に「瓦」、119−1]経戸 乙類
ヘ〔濁音〕倍毎 乙類
ミミメメモモヨヨロロ
○以上は普通の仮名の別に相当しない十三の仮名、および『古事記』における「モ」の仮名に当る万葉仮名の類別のみを挙げたのである。
○同じ字が清音と濁音とに重出しているのは、或る書ではこれを清音に用い他の書ではこれを濁音に用いたものである。


底本:「古代国語の音韻に就いて 他二篇」岩波文庫、岩波書店
   1980(昭和55)年6月16日第1刷発行
   1985(昭和60)年8月20日第8刷
底本の親本:「国語音韻の研究(橋本進吉博士著作集4)」岩波書店
   1950(昭和25)年
入力・校正:久保あきら
1999年11月9日公開
2003年6月15日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
※なお本作品の入力作業には、前記の底本とは別に、福井大学教育地域科学部の岡島様よりご提供いただいた電子テキスト(このテキストは旧表記で、明世堂書店『古代國語の音韻に就いて』<昭和17年6月20日初版>の昭和18年1月10日再版を底本としています)を利用させていただきました。
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