点、1−2−22]その製作の後世のものなるを證するもの也。更に三皇を五帝の前におけるも同樣なり。五星に迷信的思想を附加せるはアッシリアの思想なり。
然らばかゝる天文五行思想の入り來らざる以前の支那思想界は如何なりしかといふに、そはアミニズムにして、宇宙萬象に生靈ありと考へしもの也[#ここから割り注] これにつきては已に論じたることあれば今は省略す[#割り注終わり]。而して宗教的思想より進みて道徳を以て人々の行を規定し行かんと擬したるは儒教なり。この固有思想と五行等の新來思想とが合せる時、その宗教的方面に結びつきしは方士の類なり。後に道教となり風水説となれり。その道徳的方面に結びつきしは儒教也、易也。而して『書經』『禮記』は五行分子多く、孔子の説は道徳的分子に富みたり。
而してかの陰陽思想は延いてわが國に及び、神代史の構成に影響すること大なりき。
[#地から2字上げ]〔明治四十五年二月二十二日、漢學研究會の講演、明治四十五年四月『東亞研究』第二卷第四號〕
底本:「白鳥庫吉全集 第八卷 アジア史論 上」岩波書店
1970(昭和45)年10月26日発行
初出:「東亞研究」第二卷第四號
1912(明治45)年4月
入力:はまなかひとし
校正:土屋隆
2004年12月12日作成
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