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リンデン まあ――
ノラ (踊りながら)こんな面白いことをしてるんですよ、クリスチナさん!
ヘルマー どうしたんだ、ノラ、お前の踊りはまるで生死《いきしに》の騷ぎのやうだ。
ノラ えゝ、生命がけの踊りなの。
ヘルマー ランク君、止め給へ! これぢやまるで氣狂だ。おい君止め給へ。
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(ランク、ピアノを彈き止める。ノラ、それと同時に突然立止つて身動きもせぬ)
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ヘルマー (女の方へ行きながら)これほどまでとは思はなかつたが、お前、俺の教へてやつたものを、すつかり忘れてしまつたな。
ノラ (タンバリンを投出す)ね、ご覽なすつたでせう。
ヘルマー これぢやあ實際教へる必要がある。
ノラ ね、教はる必要があるでせう。だから愈々といふ間際まで、あなたすつかり稽古をして下さらなくつちやいけません。その約束をして下さいよ、ね。
ヘルマー よろしい、よろしい。
ノラ 今日と明日とは私のことのほか、何も考へないでゐて下さい。手紙一本だつて開
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