ルをかける)あゝ、丁度今あの人が手紙を取つて讀んでゐる。いゝえ/\、まだ/\、さようなら。あなた――そして子供達も達者でおいで――
[#ここから3字下げ]
(女は廊下から走り出ようとする。その瞬間にヘルマーが手荒く扉を開け、開いた手紙を手に持つて現はれる)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
ヘルマー ノラ!
ノラ (叫びながら)あゝ!
ヘルマー これは何だ? この手紙の中に書いてあることを、お前は知つてるか。
ノラ はい知つてゐます。ですから私もう行きます。通して下さい。
ヘルマー (引き留めながら)どこへ行くといふんだ。
ノラ (振り離さうとして)私を助けて下さらなくてもいゝんです、あなた。
ヘルマー (よろめきながら)やつぱり本當だ! この中に書いてあるのは本當なのか?――いや、いや、こんなことが本當であらう筈はない。
ノラ 本當です、それといふのも私、あなたを愛するためには何をしてもいゝと思つたからです。
ヘルマー 辯解はしなくてもよろしい。
ノラ (一足夫の方へ進んで)あなた――
ヘルマー 困つた奴! 何といふことをやつたのか――
ノラ だ
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