x三幕全部を上場した。
 これが我が國における『人形の家』の最初の興行であるとともに、廣く近代劇としても、在來の女形と稱する男優を用ひず、女優を主として成功した眞面目な劇の最初である。その時の役割は、
[#ここから2字下げ]
ヘルマー            土肥庸元
クログスタッド         東儀季治
ランク             森英治郎
使の男             西原勝彦
子供                きよ子
                  てい子
エレン             横川唯治
アンナ             佐々木積
リンデン夫人          廣田濱子
ノラ              松井須磨子
[#ここで字下げ終わり]
 同じ一座は、翌明治四十五年三月十四日から一週間、大阪中座で同じく『人形の家』を開演し、これまた好成績であつた。
『人形の家』の歴史は大體以上のやうなものである。

   大正二年三月
[#地から2字上げ]抱月生



底本:「人形の家」角川文庫、角川書店
   1952(昭和27)年8月15日初版発行
   1961(
前へ 次へ
全37ページ中36ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
島村 抱月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング