るかと考えられる。そしてそういうことを考えるのを、非常に気味わるく恐ろしく感じた。自分は思わず口のうちで念仏を始めた。そうして数十ペん唱えた。しかしいくら念仏を唱えても、今の自分の心の痛みが少しも軽くなると思えなかった。ただ自分は非常に疲れを覚えた。気の張りが全く衰えてどうなってもしかたがないというような心持ちになってしまった。
[#天より33字下げ、地より1字上げで](明治四十二年九月)
底本:「野菊の墓」集英社文庫、集英社
1977(昭和52)年9月20日第1刷発行
1981(昭和56)年6月15日第4刷発行
入力:大野晋
校正:大西敦子
2000年6月2日公開
青空文庫作成ファイル:
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