に対してそんな誤解《ごかい》をするのは紳士《しんし》としてはずべきことだよ」
ゴルドンはすこしくことばをあらげてドノバンを責めた。ドノバンはだまって室を出ていった。
翌日富士男はモコウと次郎をつれてボートに乗り、一同にしばしの別れを告げた。
いま富士男がしるした日記の一節を左に紹介《しょうかい》する。
二月四日[#「二月四日」に白丸傍点] 朝八時ぼくは次郎とモコウをしたがえて一同に別れを告げた。ニュージーランド川より平和湖へこぎだすに、この日天気|晴朗《せいろう》、南西の風そよそよと吹いてボートの走ること矢のごとし。
ふりかえって見ると湖のほとりに立っている諸友の影はだんだん小さくなり、棒《ぼう》の先に帽子をのせてふっているのはゴルドンらしい、大きな声でさけんでいるのはサービスだろうか。それすらもう水煙|微茫《びぼう》の間に見えなくなって、オークランド岡のいただきも地平線の下にしずんでしまった。
十時前後から風ようやく小やみになって、正午には風まったくなくなった。帆をおろして三人は昼食を食べた。それからモコウとぼくがオールをとり、次郎にかじをとらして、さらに北東にこいでゆ
前へ
次へ
全254ページ中99ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング