に対してそんな誤解《ごかい》をするのは紳士《しんし》としてはずべきことだよ」
ゴルドンはすこしくことばをあらげてドノバンを責めた。ドノバンはだまって室を出ていった。
翌日富士男はモコウと次郎をつれてボートに乗り、一同にしばしの別れを告げた。
いま富士男がしるした日記の一節を左に紹介《しょうかい》する。
二月四日[#「二月四日」に白丸傍点] 朝八時ぼくは次郎とモコウをしたがえて一同に別れを告げた。ニュージーランド川より平和湖へこぎだすに、この日天気|晴朗《せいろう》、南西の風そよそよと吹いてボートの走ること矢のごとし。
ふりかえって見ると湖のほとりに立っている諸友の影はだんだん小さくなり、棒《ぼう》の先に帽子をのせてふっているのはゴルドンらしい、大きな声でさけんでいるのはサービスだろうか。それすらもう水煙|微茫《びぼう》の間に見えなくなって、オークランド岡のいただきも地平線の下にしずんでしまった。
十時前後から風ようやく小やみになって、正午には風まったくなくなった。帆をおろして三人は昼食を食べた。それからモコウとぼくがオールをとり、次郎にかじをとらして、さらに北東にこいでゆくと、四時になってはじめて東岸の森が低く水上に浮かびでるのを見た。
湖の面《おもて》はガラスのごとくたいらかで、水はなんともいえぬほどすんでいる。十五、六尺下にしげっている水底の植物と、これらの植物のあいだを群れゆく無数の魚は手にとるごとく見える。
午後六時にボートは東岸の丘についた、そこはちょうど川口になっているので、山田先生の地図にある川はこれだとわかった。ぼくはこれに名をつけた。
「東川」
この夜はボートを岸につないで三人は露宿《ろじゅく》した。
五日[#「五日」に白丸傍点] 朝六時に起きふたたびボートにあがりただちに川にこぎいれた。ちょうど退《ひ》き潮《しお》のときだからボートはおもしろいように流れをくだって、モコウがひとりオールをもって両岸の岩につきあたらないようにするだけであった。
ぼくはともにすわって両岸をながめゆくに、つつみの上には一面に樹木が密生し、そのなかにまつとかしわがもっとも多かった。これらの樹木のなかにその枝あたかもかさのごとく四方にひろがり、ていていとしてひいでたる樹を発見した。その枝には長さ四、五寸の円すい形の実がぶらりぶらりたれてある。ぼくはゴ
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