と富士男はいった。
「いや、全滅じゃない。だちょうの森でとり逃がしたロックとコーブがのこっている」
とイバンスがいった。
「ともかくぼくらはドノバンを迎《むか》えにゆかなきゃならん」
富士男はこういって足をかえした。一同はそれにしたがってもとの路へ帰り、ドノバンのたんかをになって洞へ帰ると、残りの少年たちはホーベスを洞へ入れて、ドノバンと同じく床の上に安臥《あんが》せしめた。
この夜は終夜まくらもとにつきそうて看護《かんご》した。ドノバンはやっぱり昏睡状態《こんすいじょうたい》である。ケートはニュージーランド河畔《かはん》にしげっているはんのきの葉をつんで、それをついてこう薬をつくり、二人の創《きず》に塗りつけた。これは痛みをとるに特効《とっこう》があった。だがホーベスの負傷《ふしょう》は、急所の痛手《いたで》なので、この妙薬《みょうやく》も効験《こうけん》はなかった。かれは自分でとうてい助からないと知り、眼をかすかに開いて、ケートの顔をしみじみとながめていった。
「いろいろお世話《せわ》になりました、だがぼくはもうだめです。どうか少年たちにお礼をいってください。ぼくは死んでも少年たちをまもって、ぶじ本国に帰るようにします」
「そんな心細いことをいわずに、元気をお出しなさい。あなたはかならず全快なさいます」
とケートはいった。
「いやいや」とホーベスは眼をしばたたいて「ぼくはずいぶん悪いことをしたから、このくらいの天罰《てんばつ》は当然《とうぜん》です。だが、死ぬまえにほんのわずかのあいだでも、善心《ぜんしん》にたちかえることができたのはぼくの一生のうちの幸福です」
その後かれはなにもいわなかった。しだいしだいに呼吸《こきゅう》がおとろえて、あけがた、うすあかりが東にほのめくころ、この改悟《かいご》の義人は、十五少年とケートとインバスにまもられて、その光ある最後の息をひきとった。
一同はホーベスの遺骸《いがい》を、左門の墓の隣《となり》にあつくほうむった。
しかしロックとコーブが生きているあいだは、一同安眠することができぬ。そこでイバンスは、富士男、ゴルドン、バクスター、イルコックの四人とともに、フハンをつれて探索《たんさく》にでかけた。するとかれらは、だちょうの森のなかにふたりの屍体《したい》を発見した。コーブははじめ弾丸《たま》にあたったところ
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