のコーブはかれら仲間でも名だたるけんかじょうずだ。富士男のような少年が、どうしてかれに対抗《たいこう》できよう! 富士男はしっかりとかれに組みふせられた。組みしかれながらも富士男は、少しもあわてない、父から教えられた日本固有の柔道の奥の手、けさがためののがれがきまって、大兵《だいひょう》のコーブをみごとにはねかえした、かえされたコーブもさるもの、地力《じりき》をたのみにもうぜんと襲来《しゅうらい》した、その右手には、こうこうたる懐剣《かいけん》が光って、じりじりとつめよる足元は、大地の底にめりこむかのよう!
富士男は少しもちゅうちょしない、かれはコーブの剣をみると、勇気がますます加わった。
「さあこい」
手並みを知ったコーブは、組み打ちではあぶないと思った、かれは一気に、富士男をつき殺す作戦をとった。かれは両手を高くあげて、おどりかかった。富士男は右にかわし、左にかわし、敵のすきをみて組みつこうと逃げまわった、いいかげんにじらされたコーブは、おそろしい声を出してほえた。同時にしゃにむに、富士男にとびかかった。
「よしッ、こい」
富士男はこしをきめて、敵の右手をとろうとした一せつな、残念! かれは木の根につまずいて、ばったりたおれた。
「しめたッ」
コーブは折りかさなって富士男を膝下《しっか》にしき、懐剣《かいけん》をいなづまのごとくふりかぶった。瞬間! ドノバンは石のつぶてのごとく、からだをもってコーブのからだにころげこんだ。ドノバンのからだに押されて手がゆるんだ、すきをえた富士男は、すばやく立ち上がった、だがこのとき、ドノバンは一声アッとさけんだ。コーブはドノバンの胸を、一|突《つ》き突いたのであった。
それも一しゅん、これも一しゅんである、フハンはもうぜんとおどりあがって、コーブの手にかみついた。
「ちくしょう! ちくしょう!」
かれは一生けんめいにふりはらった、そうしてあとをも見ずに逃げ去った。
イルコック、ウエップらは、凶漢《きょうかん》のあとを追うて発砲した。一、二発は手ごたえがあったが、すがたは緑雲《りょくうん》たなびく林のなかにきえてしまった。
「ドノバン! ドノバン!」
富士男はたおれたドノバンを、しっかりとだきしめてさけんだ。
「しっかりしてくれ、ドノバン!」
よべど答えず、答うるものは、森のこだまのみである。
さきにドノバンが
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