んだ、しめた! のがれる日が近づいたのだ、悪人どものすきをうかがってのがれよう、そして島の人たちに救ってもらおう、たとえそれが蛮《ばん》人であってもいい、極悪《ごくあく》の人殺しの悪漢どもといっしょにいるよりか、どれだけ幸福かしれやしない、だが、海蛇《うみへび》のやつもなかなかぬけめがない、その日から看視《かんし》は前にまして厳重《げんじゅう》を加《くわ》えた、海蛇《うみへび》どもは急に元気おうせいになって足を早めた、湖の東岸をそって南へ南へと歩いた、だがいってもいっても人の住まいはおろか、踪跡《そうせき》らしいものにもあわない、一つの煙、一発の銃声もきかない」
「それはぼくらがあいいましめて、洞穴にかくれていたからです」
 と富士男がいった。
「だが海蛇《うみへび》どもは失望せずに進んだ、そしてとうとうきみらを発見した」
「どこで?」
 と一同が昂奮《こうふん》してさけんだ。
「二十二日の夜だった、鉄砲玉《てっぽうだま》のロックと四本指の兄貴《あにき》のパイクのふたりが、海蛇《うみへび》の命令で斥候《せっこう》に出た、そしてきみらの洞穴を発見したのだ、洞からはチラチラと火がもれ、戸をあけしめするすがたを見たので、ふたりの報告を受けとった海蛇《うみへび》は、つぎの日|単身《たんしん》で川ぶちの茂林にひそんで、きみらの動静《どうせい》をさぐった」
「やっぱりそうだったか」
 と富士男がいった。
「ぼくらも悪漢どもがこのあたりをうろついているのを知ったのです」
 とゴルドンがいった。
「きみらが知ってた?」
 とイバンスが小首をかたむけた。
「そうです、ぼくらはたばこのにおいのまだ新しいパイプを発見したのです」
「そうか、どうりで海蛇《うみへび》が、たいせつなものをなくしたと手下どもをどなっていた、ハハハハ」
 とイバンスが腹の底から笑った、だがすぐまじめになって、
「海蛇《うみへび》どもは洞のなかのものが、みな年のゆかない子どもばかりの集まりだと知ったのだ、きみらは不用意にも川のふちに出たり、洞の前に立ったりしたからね、悪漢どもは襲撃《しゅうげき》の方法をあれこれと相談した」
「悪魔《あくま》! 人でなし! かれらはこのかれんな子どもたちをどうしようとするのだろう、助けてやろうとは思わないのでしょうか?」
 とケートがさけんだ。
「そうです、セルベン号の船長や、あなた
前へ 次へ
全127ページ中107ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング