んと身をそらした。まもなく一行のすがたが森陰《もりかげ》にかくれた。
「とうとう去ってしまった」
と富士男がかなしそうにいった。
「去る者をして去らしめよだ」
それまで沈黙《ちんもく》をまもっていたゴルドンが、はじめて口をきった。
「さあ、みんな元気に、ぼくらはぼくらの仕事をはじめよう」
一同はうながさるるように、洞穴のなかにはいった。
さてドノバンの計画というのはこうである。数ヵ月前、富士男が失望湾の浜辺で発見したという岩窟《がんくつ》に居《きょ》をかまえ、ニュージーランド川の森で猟《りょう》をして食糧にあてれば、眠食ともに不自由なく、気ままの生活ができる、というのである。失望湾は左門洞から約二十キロメートルの距離《きょり》にある、これは万一のばあい、左門洞の一同と消息《しょうそく》を通ずるにしごく容易《ようい》である。
まもなく一行はニュージーランド河畔《かはん》に到着した。
川のほとりにモコウが、ボートを艤《ぎ》して一行を待ちうけていた。これは四人がボートをあやつる知識と、熟練《じゅくれん》に欠けてるのを知っている富士男が、モコウにむこう川岸まで送りとどけるように命じたのだった。この命令をうけたとき、モコウは首を横にふった。
「ご主人、こればっかりはおことわりします。ほかの人にやらせてください」
「なぜだ?」
「黒ん坊のボートで川を渡ったとなればかれらの恥でしょうし、あんなにご主人を侮辱《ぶじょく》したやつには、力をかしてやる理由がありません」
「モコウ、きみは私事と公事とを混用《こんよう》している、たとえかれらがぼくを侮辱したところが、それは小さな私事なのだ。私事のためにかれらに難儀《なんぎ》をかけることは恥《は》ずべきことだ、ぼくは連盟の大統領の職責から命じるのだ」
「わかりました。ですがご主人、わたしはかれらと一言もことばをかわしたくないと思いますが、これだけはゆるしてください」
「ハハハ、そりゃきみの自由だ」
大統領の命令ならそむくわけにはゆかない。彼はいさぎよく渡川の任務をひきうけたのだった。
ボートは川岸をはなれた。川霧はまったく晴れてオールに破れた川面《かわも》が、小波《さざなみ》をたてて、日にキラキラと光った。モコウは黙々としてオールをあやつり、黙々として四人を川岸にあげ、そして黙々としてこぎ帰った。
一行四人のその後の行動は
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