そろ》。(十九日)
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無論一部の事には候《そろ》へども江戸《えど》つ子《こ》の略語《りやくご》に難有《ありがた》メの字《じ》と申すが有之《これあり》、難有迷惑《ありがためいわく》の意《い》に候《そろ》軽《かる》くメの字《じ》と略《りやく》し切りたる洒落工合《しやれぐあひ》が一寸《ちよつと》面白いと存候《ぞんじそろ》。(十九日)
親子《おやこ》若《もし》くは夫婦《ふうふ》が僅少《わづか》の手内職《てないしよく》に咽《むせ》ぶもつらき細々《ほそ/\》の煙《けむり》を立てゝ世が世であらばの嘆《たん》を発《はつ》し候《そろ》は旧時《きうじ》の作者が一場《いつぢやう》のヤマとする所に候《そろ》ひしも今時《こんじ》は小説演劇を取分《とりわ》けて申候迄《まうしさふらうまで》もなし実際に於《おい》てかゝる腑甲斐《ふがひ》なき生活状態の到底《たうてい》有得《ありう》べからざる儀《ぎ》となり申候《まうしそろ》、即《すなは》ち今時《こんじ》の内職《ないしよく》の目的《もくてき》は粥《かゆ》に非《あら》ず塩に非《あら》ず味噌《みそ》に非《あら》ず安コートを引被《ひつか》けんが為《ため》に候《
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