族とが、現在に栄え、また未来にも栄え得る。
「与うるに条件を以てすれば」何でもなし得るのが、人間である。人間は断じて弱いものではない。弱い者でなければこそ、何万年、何億年の後に、それが天文学的の数字であるとはいえ、遠い将来に於て、「正義の国」「極楽」「天堂」を建設し得るという希望を描き得るのである。今これが見つからないと言って、首縊って死ぬる必要は断じてない。この国は学者の持っている地図や、本には出ていないけれども、人間そのものが持っている理想の地図や、本にはちゃんと書かれてある。
「足を地に、地でなくとも、何物にか釘づけられていては、天には昇れない。空間内に跼蹐していては、時間に飛躍することはできない」
洋の東西を分ち、ヨーロッパとアジアの間に障壁を築くものには、この間の消息は分らない。[#地から1字上げ](昭和十四年十月)
底本:「畜生道の地球」中公文庫、中央公論社
1989(平成元)年10月10日発行
底本の親本:「畜生道の地球」三啓社
1952(昭和27)年7月
初出:「他山の石」(第6年17号)名古屋読書会報告
1939(昭和14)年9月
入力:久保格
校正:門田裕志
2004年5月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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