があるかもしれぬのを待とう、愛人として取り返すために心をつかうことはしないほうがよかろうなどと煩悶《はんもん》する大将であった。
やはりその話に触れようとあそばさないであろうかと思われるのであったが、中宮の思召すところが知りたくて、機会を作って薫はお話しにまいった。
「突然死なせてしまったと私の思っていました人が漂泊《さすら》ってこの世にまだおりますような話を聞かされました。そんなことがあろうはずはないと思われますものの、また自殺などの決行できる強い性質ではなかったことを考えますと、その話のように人に助けられておりますのが性格に似合わしいことのようにも思われるのでございます」
と言い、その話を以前よりも細かに申し上げ、兵部卿《ひょうぶきょう》の宮のことを、尊敬を払うふうで、お恨み申しているようには申さずお話をして、
「拾われて生きていますことがあの方のお耳にはいっているのでございましたら、私が女を疑って見る能力の欠けた愚か者に見えることでございますから、なお生きているとも知らぬふうにしてそのまま置こうかとも思います」
と申すのであった。
「僧都が宇治の話をした晩はね、こわいような
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