心強くなっておられる者はなくなって皆泣いていた。
右近が出て来て非常に泣くのももっともなことと思われた。宮がこういう思召しで迎えのために自分らをおつかわしになったということを語ると、今になって他の女房たちからも怪しいことと言われ、思われするであろうことが苦しく考えられて、
「まいりましてもよくおわかりいただきますほどな細かなお話がまだできます自信がございません。お四十九日が済みましたあとで、ちょっと外へまいると申すような体裁を作りましても不自然でないころになりました時、私はもう生きても居られない気はいたしますものの、まだ生き延びておられましたなら、お召しがございませんでも伺いまして、ほんとうに夢のようでございました悲しいお話も申し上げたいと思います」
と言い、今は動きそうにもない。内記も泣いて、
「私は何も細かい御関係のことまでは知らないのですし、事情もわかりませんが、宮様がどんなに深い愛をお持ちになりましたかということだけは存じ上げていたものですから、あなたがたとも急いで御懇意にならずとも、しまいには御主人としてお仕えする方についておいでになる方と思いまして呑気《のんき》にして来
前へ
次へ
全79ページ中26ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
紫式部 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング