見いだされる。腕《かいな》なども細く細く細くなって影のようにはかなくは見えながらも色合いが変わらず、白く美しくなよなよとして、白い服の柔らかなのを身につけ夜着は少し下へ押しやってある。それはちょうど中に胴というもののない雛《ひな》人形を寝かせたようなのである。髪は多すぎるとは思われぬほどの量《かさ》で床の上にあった。枕《まくら》から下がったあたりがつやつやと美しいのを見ても、この人がどうなってしまうのであろう、助かりそうも見えぬではないかと限りなく惜しまれた。長く病臥《びょうが》していて何のつくろいもしていない人が、盛装して気どった美人というものよりはるかにすぐれていて、見ているうちに魂も、この人と合致するために自分を離れて行くように思われた。
「あなたがいよいよ私を捨ててお行きになることになったら、私も生きていませんよ。けれど、人の命は思うようになるものでなく、生きていねばならぬことになりましたら、私は深い山へはいってしまおうと思います。ただその際にお妹様を心細い状態であとへお残しするだけが苦痛に思われます」
中納言は少しでもものを言わせたいために、病者が最も関心を持つはずの人のこ
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