き》によく似ております。不幸な者につきもののような灯影《ほかげ》でございます」
 と明石が言った。

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「浅からぬ下の思ひを知らねばやなほ篝火の影は騒げる
[#ここで字下げ終わり]

 だれが私の人生観を悲しいものにさせたのだろう」
 と源氏のほうからも恨みを言った。少し閑暇《ひま》のできたころであったから、御堂《みどう》の仏勤めにも没頭することができて、二、三日源氏が山荘にとどまっていることで女は少し慰められたはずである。



底本:「全訳源氏物語 上巻」角川文庫、角川書店
   1971(昭和46)年8月10日改版初版発行
   1994(平成6)年12月20日56版発行
※このファイルは、古典総合研究所(http://www.genji.co.jp/)で入力されたものを、青空文庫形式にあらためて作成しました。
※校正には、2002(平成14)年4月5日71版を使用しました。
入力:上田英代
校正:kompass
2003年7月14日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp
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