ました。もう相当な年配になっている私は、これからはまたそのころ以上にそうした浮華なものがきらいになるでしょう。いたいたしい萩《はぎ》の露や、落ちそうな笹《ささ》の上の霰《あられ》などにたとえていいような艶《えん》な恋人を持つのがいいように今あなたがたはお思いになるでしょうが、私の年齢まで、まあ七年もすればよくおわかりになりますよ、私が申し上げておきますが、風流好みな多情な女には気をおつけなさい。三角関係を発見した時に良人《おっと》の嫉妬《しっと》で問題を起こしたりするものです」
左馬頭は二人の貴公子に忠言を呈した。例のように中将はうなずく。少しほほえんだ源氏も左馬頭の言葉に真理がありそうだと思うらしい。あるいは二つともばかばかしい話であると笑っていたのかもしれない。
「私もばか者の話を一つしよう」
中将は前置きをして語り出した。
「私がひそかに情人にした女というのは、見捨てずに置かれる程度のものでね、長い関係になろうとも思わずにかかった人だったのですが、馴《な》れていくとよい所ができて心が惹《ひ》かれていった。たまにしか行かないのだけれど、とにかく女も私を信頼するようになった。愛し
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