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東 老いては子に従ふ
西 負ふた子に教へられ
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共に仮名違ひながら其は云はでも有らなむ。一は老者の自ら主とせざるを可とするを云ひ、一は幼者の智も亦《また》師とす可きあるを云へる、彼此共に其の意の聊《いささ》か似通へるところあるもをかし。
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東 われ鍋に綴蓋
西 笑ふ門には
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此は、如何なる賤陋《せんろう》のものにも、世おのづからこれと相従ひ相《あひ》幇《たす》けて功を共にし楽を分つものあるを云ひ、彼は、先づ自ら楽みて笑ひ、又能く笑ひて人を楽ましむるものは、おのづからに和を致して而して福を来すに及ぶを道破せる、共に愉快なる佳諺《かげん》なり。
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東 かつたいの痂《かさ》うらみ
西 蛙の面に水
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東は悪因を有するものの徒《いたづら》に悪果を恨み歎ずるを笑ひ、西は冷※[#二の字点、1−2−22]然として平らかなるものの如何ともす可からざるを憎めるなり
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