なものであるが、煙霧の中で船の位置を測定する事が不確実になつては、一大事を惹き起さぬとも限らぬ。発動機の如きはなほ取り扱ひが重大で、飛行機の墜落の大部分は発動機の故障より生ずるのである。
 然らば如何にして、物に接すべきか。
 それには、その物を愛する、この心がけが最も重大なものであつて、これは仁である。
 その物を理解し、正しく取り扱ふ、これは次に大切な心がけであつて、これは義である。物に接するにも仁義が第一である。[#以下、地付き](大正十五年二月)



底本:「日本の名随筆 別巻76・常識」作品社
   1997(平成9)年6月25日第1刷発行
底本の親本:「露伴全集 別巻 下」岩波書店
   1980(昭和55)年3月28日第1刷発行
入力:渡邉 つよし
校正:門田 裕志
2001年9月28日公開
青空文庫作成ファイル:
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