やら散※[#二の字点、1−2−22]に茶にして居て、表面《うはべ》こそ粧《つくろ》へ誰一人真実仕事を好くせうといふ意気組持つて仕てくるゝものは無いは、ゑゝ情無い、如何かして虚飾《みえ》で無しに骨を折つて貰ひたい、仕事に膏《あぶら》を乗せて貰ひたいと、諭せば頭は下げながら横向いて鼻で笑はれ、叱れば口に謝罪られて顔色《かほつき》に怒られ、つく/″\我折つて下手に出れば直と増長さるゝ口惜さ悲しさ辛さ、毎日※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]棟梁※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]と大勢に立てられるは立派で可けれど腹の中では泣きたいやうな事ばかり、いつそ穴鑿りで引使はれたはうが苦しうないと思ふ位、其中で何か斯か此日《こゝ》まで運ばして来たに今日休んでは大事の躓き、胸が痛いから早帰りします、頭痛がするで遅くなりましたと皆《みんな》に怠惰《なまけ》られるは必定、其時自分が休んで居れば何と一言云ひ様なく、仕事が雨垂拍子になつて出来べきものも仕損ふ道理、万が一にも仕損じてはお上人様源太親方に十兵衞の顔が向られうか、これ、生きても塔が成《でき》ねばな、此十
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