五重塔
幸田露伴

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)木理《もくめ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大丈夫|此方《こち》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)一[#(ト)]しほ

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぐる/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

       其一

 木理《もくめ》美《うるは》しき槻胴《けやきどう》、縁にはわざと赤樫を用ひたる岩畳《がんでふ》作りの長火鉢に対ひて話し敵《がたき》もなく唯一人、少しは淋しさうに坐り居る三十前後の女、男のやうに立派な眉を何日《いつ》掃ひしか剃つたる痕の青※[#二の字点、1−2−22]と、見る眼も覚むべき雨後の山の色をとゞめて翠《みどり》の※[#「鈞のつくり」、第3水準1−14−75]ひ一[#(ト)]しほ床しく、鼻筋つんと通り眼尻キリヽと上り、洗ひ髪をぐる/\
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