奕棊に如かず、其れ何を以て免れん乎の語あり。特に既に奕秋の如き、技を以て時に鳴る者ありしに依れば、奕の道の当時に発達したるを察知するに足る。仮令尭の手に成らずとするも、奕は少くも周若くは其前に世に出でたるものなること知る可し。
 棊の由つて来ること是の如く久しきを以て、若し棊に関するの文献を索めんには、厖然たる大冊を為すべし。史上に有名なる人物の棊に関する談は、費※[#「※」は「ころもへん+韋」、第3水準1−91−80、読みは「い」、106−1]と来敏との羽檄交※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区点番号1−2−22、106−1]馳する間に於て対局したるが如き、王粲が一局の棊を記して誤らざりし如き、王中郎が棊を座隠といひ、支公が手談と為せる如き、袁※[#「※」は「羌+ム」、第3水準1−90−28、読みは「きょう」、106−3]が棊を囲みながら、殷仲堪の易の義を問ふに答へて、応答流るゝが如くなりし如き、班固に奕旨の論あり、馬融に囲棊の賦あるが如き、晋の曹※[#「※」は「てへん+慮」、第4水準2−13−58、読みは「ちょ」、106−4]、蔡洪、梁の武帝、宣帝に賦あるが如き、魏の応※[#「※
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