ロガリ出すことが出来るのサ。ダカラ甘《うま》く天地を包含したようの事を示せるのサ。又人間の心をもイヤに西洋の奴らは直線的に解剖したがるから、呆れて物がいえない、馬鹿馬鹿しい折詰の酢子《すし》みたような心理学になるのサ。一切生活機能のあるもの、いい直して見れば力の行われているものを直線的にぐずぐず論ずるのが古来の大まちがいサ。アア螺旋法なるかななるかな。といいたるまま、かの学者はクンクンと鼻をならしながら、どうだ分ッたか螺旋法が、少し分ったろう、螺旋法に限るぞ、といい玉う。かの男は閉口してつくづく感心し、なるほどなるほど法螺《ほら》とはこれよりはじまりけるカネ。(終)
[#地付き](「読売新聞」明治二三年)
底本:「懐かしい未来――甦る明治・大正・昭和の未来小説」中央公論新社
2001(平成13)年6月10日初版発行
底本の親本:「読売新聞」読売新聞社
1890(明治23)年4月
初出:「読売新聞」読売新聞社
1890(明治23)年4月
※この作品は、1890(明治23)年4月8日〜4月20日にかけて「読売新聞」に連載された、「日ぐらし物語」の一話です。
入力:川山隆
校正:伊藤時也
2006年10月18日作成
2007年2月11日修正
青空文庫作成ファイル:
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