を見懸けます。背戸《せど》に近い百姓屋などは、漬物桶《つけものおけ》を置いたり、青物を活《い》けて重宝《ちょうほう》がる。で、幕を開けたからにはそれが舞台で。」
二十二
「なるほど、そう思えば、舞台の前に、木の葉がばらばらと散《ちら》ばった中へ交《まじ》って、投銭《なげせん》が飛んでいたらしく見えたそうでございます。
幕が開《あ》いた――と、まあ、言う体《てい》でありますが、さて唯《ただ》浅い、扁《ひらった》い、窪《くぼ》みだけで。何んの飾《かざり》つけも、道具だてもあるのではござらぬ。何か、身体《からだ》もぞくぞくして、余り見ていたくもなかったそうだが、自分を見懸けて、はじめたものを、他に誰一人いるではなし、今更《いまさら》帰るわけにもなりませんような羽目になったとか言って、懐中《かいちゅう》の紙入《かみいれ》に手を懸けながら、茫乎《ぼんやり》見ていたと申します。
また、陰気な、湿《しめ》っぽい音《おん》で、コツコツと拍子木《ひょうしぎ》を打違《ぶっちが》える。
やはりそのものの手から、ずうと糸が繋《つな》がっていたものらしい。舞台の左右、山の腹へ斜めにかかっ
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