っと》も靄《もや》に包まれながら――
 そこで、何か見極《みきわ》めたい気もして、その平地《ひらち》を真直《まっすぐ》に行《ゆ》くと、まず、それ、山の腹が覗《のぞ》かれましたわ。
 これはしたり! 祭礼《まつり》は谷間《たにま》の里からかけて、此処《ここ》がそのとまりらしい。見た処《ところ》で、薄くなって段々に下へ灯影《ひかげ》が濃くなって次第に賑《にぎや》かになっています。
 やはり同一《おんなじ》ような平《たいら》な土で、客人のござる丘と、向うの丘との中に箕《み》の形になった場所。
 爪尖《つまさき》も辷《すべ》らず、静《しずか》に安々《やすやす》と下りられた。
 ところが、箕《み》の形の、一方はそれ祭礼《まつり》に続く谷の路《みち》でございましょう。その谷の方に寄った畳なら八畳ばかり、油が広く染《にじ》んだ体《てい》に、草がすっぺりと禿《は》げました。」
 といいかけて、出家は瀬戸物《せともの》の火鉢を、縁《えん》の方へ少しずらして、俯向《うつむ》いて手で畳を仕切った。
「これだけな、赤地《あかじ》の出た上へ、何かこうぼんやり踞《うずくま》ったものがある。」
 ト足を崩してとかく
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