芸娼妓《くろうと》に違いないと申すもあるし、豪《えら》いのは高等|淫売《いんばい》の上《あが》りだろうなどと、甚《はなはだ》しい沙汰《さた》をするのがござって、丁《とん》と底知れずの池に棲《す》む、ぬし[#「ぬし」に傍点]と言うもののように、素性《すじょう》が分らず、ついぞ知ったものもない様子。」

       十六

「何にいたせ、私《わたくし》なぞが通りすがりに見懸けましても、何んとも当りがつかぬでございます。勿論また、坊主に鑑定の出来ようはずはなけれどもな。その眉のかかり、目つき、愛嬌《あいきょう》があると申すではない。口許《くちもと》なども凛《りん》として、世辞《せじ》を一つ言うようには思われぬが、唯《ただ》何んとなく賢げに、恋も無常も知り抜いた風《ふう》に見える。身体《からだ》つきにも顔つきにも、情《なさけ》が滴《したた》ると言った状《さま》じゃ。
 恋い慕うものならば、馬士《うまかた》でも船頭でも、われら坊主でも、無下《むげ》に振切《ふりき》って邪険《じゃけん》にはしそうもない、仮令《たとえ》恋はかなえぬまでも、然《しか》るべき返歌はありそうな。帯の結目《むすびめ》、袂《
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