》むんだあな。犬猫を殺すのも狩をするのも同一《おんなじ》こッた。何、知れりゃ華族だ、無断に品物を取って来た、代価は幾干《いくら》だ、好《すき》な程払ってやるまでの事じゃあねえか。」
「あんな気だから納まらないよ。ほんとに私もあの時分に心得違いをしていたから、見処のあるお前さん、立派な悪党に仕立ててみようと、そう思ったんだがね。滝さんお聞き、蛇がその累々《つぶつぶ》した鱗《うろこ》を立てるのを見ると気味が悪いだろう、何さ、恐《こわ》くはないまでも、可い心持はしないもんだ。蟻でも蠅でも、あれがお前、万と千と固《かたま》っていてみな、厭《いや》なもんだ。松の皮でもこう重《かさな》り重りして堆《うずだか》いのを見るとね、あんまり難有《ありがた》いもんじゃあない、景色の可い樹立《こだち》でも、あんまり茂ると物凄《ものすご》いさ。私ゃもう疾《とう》にからそこへ気が着いて厭になって、今じゃ堅気になっているよ。ね、お前さん、厭な姿は、蛇が自分でも可い心持じゃあなかろうではないか。蚊でも蚤《のみ》でも食ったのが、ぶつぶつ一面に並んでみな、自分の体でも打棄《うっちゃ》りたいやな。私ゃこうやってお前さんがここに盗んだものを並べてあるのを見ると、一々動くようで蛇の鱗だと思って、悚然《ぞっ》とした。」
三十九
「野暮は言わない、私だって何も素人じゃあなし、お前さんの病な事も知ってるから、今めかしい意見をするんじゃないが、世の中にゃもッと面白い盗賊《どろぼう》のしようがありそうなもんじゃないか。時計だの、金だの、お前さんが嬉しがって手柄そうにここに並べて置くものは、こりゃ何だい! 私に言わせると吝《けち》さ、端《はした》のお鳥目でざら幾干《いくら》でもあるもんだ。金剛石《ダイヤモンド》だって、高々人間が大事がって秘《しま》っておくもんだよ、慾《よく》の固《かたまり》だね。金と灰吹は溜《たま》るほど汚いというが、その宝を盗んで来るのは、塵芥溜《ごみため》から食べ荒しをほじくり出す犬と同一《おんなじ》だね、小汚ない。
そんなことより滝さん、もっと立派な、日本晴《にっぽんばれ》の盗賊《どろぼう》がありやしないかしら。
主の棲《す》む淵《ふち》といえば誰も入ったものはあるまい。昔から人の入らない処なら、中にまたどんな珍らしい不思議なものがあろうも知れない。譬《たとえ》にも竜《りゅ
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