骨に肉するおもひあり、すなはち、私財をかきあつめて資本をそなへ、富田鐵之助君、及び同郷なる木村信卿君、大野清敬君の賛成もありて、いよ/\心を強うし、踊躍して恩命を拜しぬ。かくて、編緝局の命にて、かならず全部の刊行をはたすべし、刊行の工事は同局の工塲に托すべし、篇首に、本書は、おのれ文部省奉職中編纂のものたることを明記すべし、そこばくの獻本すべし、などいふ約束を受けて、十月二十六日、稿本を下賜せられ、やがて、同じ工塲にて、私版として刊行することとはなりぬ。
刊行のはじめ、中田大久保の二氏、閑散なりしかば、家にやどして、活字の※[#「てへん+交」、第4水準2−13−7]正せむことを托しぬ。稿本も、はじめは、初稿のまゝにて、たゞちに活字に付せむの心にて、本文のはじめなる數頁は、實にそのごとくしたりしが、數年前の舊稿、今にいたりて仔細に見もてゆけば、あかぬ所のみ多く出できて、かさねて稿本を訂正する事とし、※[#「てへん+交」、第4水準2−13−7]訂塗抹すれば、二氏淨書してたゞちに活字に付し、活字は、初より二回の※[#「てへん+交」、第4水準2−13−7]正とさだめたれば、一版面、三人して、六
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