うしても分らなかった。三日滞在して探したけれど、知れなかったので、已《や》むを得ず成裕は米沢へと引挙げた。
 永久、直芳小露の行方は知れぬのであった。しかし人里を出ておらぬ事だけは分るのであった。
 この三面の秘事は、さすがに勝成裕も『中陵漫録《ちゅうりょうまんろく》』には記さなかったが、中島三伯《なかじまさんはく》という門弟に語ったのが、今日まで語り伝えられたのであった。



底本:「怪奇・伝奇時代小説選集4 怪異黒姫おろし 他12編」春陽文庫、春陽堂書店
   2000(平成12)年1月20日第1刷発行
底本の親本:「現代大衆文学全集2」平凡社
  1928(昭和3)年
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:岡山勝美
校正:門田裕志
2006年9月22日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全5ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
江見 水蔭 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング