彼女がつぎに撰んだ職業は北西川路《プースーセンロ》のムーン・パレスの踊子であった。そこで彼女はツレブラを踊った。そして金持ちの男とホテルへ。
瞬間は、[#「瞬間は、」は太字]快楽の結果として恋愛病に罹《かか》る。
時代は、[#「時代は、」は太字]ノラを歓迎する。彼女はハイ・アライのチャンピオン、テオドラと恋におちた。競犬場番人、黒奴《ニグロ》のアランがノラの男妾《だんしょう》だという評判が街にひろがった。南京路を彼女はアメリカ総領事館書記、ローランド・グリーンと腕を組んであるいていたが、いつのまにか一品香ホテルに消えたと云うものがある。国民党上海駐屯の武官、フ・ハン・パウはノラと恋愛の上昇のために自殺して死んでしまった。もっとも、チャンピオン・テオドラが最近、オドトリアムのハイ・アライに不出場も或は、もしかすると。そう云えば、黒奴アランはひどい下痢のために租界内の赤十字病院に入院したとか。ローランド・グリーンが南京路を跛《びっこ》をひいてあるいていたと云うものがある。いまでは上海はノラによって支配される。彼女の人気が沸騰するにしたがって、ために暑気は加わるばかしだ。
ノラよ、健在
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