その生長の遅速を試験してみると、低い土地から取って来た種子の方が高地から取ったのに比してよほど生長が早いという事がスイスやオーストリー辺で確かめられた。なお一般に種子の重さや生長期の長短あるいは病にかかりやすい度などもその種子を採った母樹の土地によほど関係するそうである。それでこういう樹の種子を選ぶには播種《はしゅ》すべき土地に応じて適当な処の産を用いねばなるまいという事を論じている人がある。但し樅の外の樹木にも同様の事があるかどうかは、まだよくわからぬようである。
[#地から1字上げ](明治四十一年三月十九日『東京朝日新聞』)
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         六十七

      新しい魔睡剤

 塩化エチールを魔睡剤に使用せんと試みた人がある。その近頃に発表した論文によると、この薬剤に酸素を混じて試験用の動物に吸入させてみたが一時間ほどごく安静に魔睡し、睡りからさめる時も速やかに醒《さ》め切って、エーテルやクロロホルムのようにさめ際《ぎわ》の悪いようなことがなかったそうである。しかしまだ人間には試みてみぬが多分同様の好結果を得る見込みだとの事である。

      写真の無線電
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