説である。
[#地から1字上げ](明治四十年九月三十日『東京朝日新聞』)
[#改ページ]
十
新奇な風見鴉《かざみがらす》
これは倶楽部《クラブ》あるいは宿屋の室内に粧飾用を兼ねて据え置き、時々刻々の風の方向を知らせる器械である。一見置時計のような形をしているが、その前面の円盤には羅針盤と同じように方角を誌《しる》し、その周囲には小さい豆電灯が一列に輪をなして並んでいる。もし北風ならば盤の北と誌した針のさきのランプが光っている。南ならば南、西北なら西北といつでも風向に応じて盤の豆ランプが点《とも》るのである。内部の仕掛けは簡単なものでただ屋根の上に備えた風見鴉から針金を引き電池一個を接続すればよい。店先きに備え付けて人寄せの広告などに使ったら妙だろう。
[#地から1字上げ](明治四十年十月一日『東京朝日新聞』)
[#改ページ]
十一
磁力起重機
強い電磁石を使って重い鉄片などを吸い付けて吊し上げ、汽車や汽船の荷上げや荷積みをする器械が近来|処々《しょしょ》で用いられる。今度米国の某鉄道会社で試験した結果によれば
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