うので若干のエンジニアーによって応用の方面の見地から取り扱われはしたが、それも本質的に物理的な意味ではなんらの果実を結ぶこともなしに終わっているように見える。そうしてこの現象の物理的本性についてはもちろんいろいろの解説もあり、ある程度までは説明されたと信ぜられているのであるが、現在までのところではただ従来他の方面でよく知られた事実を適用して、それだけで説明し得られる限りの問題だけに触れてはいるが、あの不思議な現象のもっと本質的な根本問題については、あえて試みにでも解析のメスを下そうとすることがまれであるのみならず、その問題の存在とその諸相を指摘しようとする人もないように見えるのである。今日でもまだ奇妙でつまらぬもののことを「リヒテンベルクのような」という言葉で言い現わす人さえあるようである。これももっともなことである。
こういう種類の現象は分類的に見るとたいてい事がらが偶然的に統計的であって、古典的物理学の意味において deterministic でないような部類に属しているのである。
統計的数字を取り扱うことが「量的」であるかないか、従来の古典物理学で言うところの量的であるかない
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