清香の顔が見えて片頬《かたほお》で笑う。
この夜すさまじい雷が鳴って雨雲をけ散らした。朝はすっかり晴れて強い日光が青葉を射ていた。早起きして顔を洗った自分の頭もせいせいして、勇ましい心は公園の球投《たまな》げ、樋川《ひかわ》の夜ぶりと駆けめぐった。
義《よし》ちゃんは立派に大きくなったが、竜舌蘭《りゅうぜつらん》は今はない。
雷はやんだ。あすは天気らしい。
[#地から3字上げ](明治三十八年六月、ホトトギス)
底本:「寺田寅彦随筆集 第一巻」小宮豊隆編、岩波文庫、岩波書店
1947(昭和22)年2月5日第1刷発行
1963(昭和38)年10月16日第28刷改版発行
1997(平成9)年12月15日第81刷発行
※「「泊まるのはいいがねえさんに」は、底本では「泊まるのはいいがねえさんに」ですが、親本を参照して直しました。
入力:田辺浩昭
校正:田中敬三
1999年11月17日公開
2003年10月22日修正
青空文庫作成ファイル:
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