ってこんな事を考えてみた。しかし結局何にもならなかった。厄年というものの科学的解釈を得ようと思ったが失敗した。主観的な意味を求めてみたが、得たものはただ取り止めの付かぬ妄想に過ぎなかった。
 しかし、誰か厄年の本当の意味を私に教えてくれる人はないものだろうか。誰かこの影の薄くなった言葉を活かして「四十の惑い」を解いてくれる人はないだろうか。
[#地から1字上げ](大正十年四月『中央公論』)



底本:「寺田寅彦全集 第三巻」岩波書店
   1997(平成9)年2月5日発行
底本の親本:「寺田寅彦全集 文学篇」岩波書店
   1985(昭和60)年発行
初出:「中央公論」
   1921(大正10)年4月1日
※初出時の署名は「吉村冬彦」。
※「冬彦集」に収録された。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:多羅尾伴内
2003年11月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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