ような気がして、思わずむっとして、そうして憂鬱になったのかもしれない。
それはとにかく、自分はその同じ日の晩、ある映画の試写会に出席した。映写の始まる前に観客席を見回していたら、中央に某外国人の一団が繩張《なわば》りした特別席に陣取っていた。やがて、そこへ著名な日本の作曲家某氏夫妻がやって来てこの一団に仲間入りをした。まさに映写されんとする映画を作った監督はその某国の人であり、録音された音楽は全部この日本人の作曲である。見ているとこの外国人の一団はこの日本の作曲者を取り巻いてきわめて慇懃《いんぎん》な充分な敬意を表した態度で話しかけている。そうして、これに対するこの日本人は、たとえばまず弟子《でし》に対する教師ぐらいな、あるいは事によるともう少しいばった態度で、笑顔《えがお》一つ見せずにむしろ無愛想にあしらっている、というふうにともかくもその時の自分には見えたのである。それがなんとなくその時の自分には愉快であった。胸につかえていたものが一時に下がるような気がした。昼間見た光景がまさしく主客|顛倒《てんとう》したのである。しかしこの昼と夜との二つの光景を見る順序が逆であったら、心持ちは
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