映画ファンの中の堅実な分子の中から総理大臣文部大臣以下各局長が輩出する時代が来て始めて私の夢は実現されるかもしれない。しかしそういう日の来ないうちに不良映画の不良教育を受けた本当の不良が天下を溺《おぼ》らすようにならないとは限らない。そうならないためには、今から教育者の地位にある当局者は、この眼前の生きた現象を徒《いたずら》に回避する代りに、これに直面してもう少し積極的な手段を取るべきではないか。あえて本誌の読者の一考を煩わしたいと思った次第である。[#地から1字上げ](昭和七年八月『公民教育』)



底本:「寺田寅彦全集 第八巻」岩波書店
   1997(平成9)年7月7日発行
初出:「公民教育」
   1932(昭和7)年8月1日
※初出時の署名は「吉村冬彦」です。
入力:Nana ohbe
校正:しだひろし
2006年12月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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