気になるであろう。そうなれば現在の色々なイズムの名によって呼ばれる盲目なるファナチシズムの嵐は収まって本当に科学的なユートピアの真如《しんにょ》の月を眺める宵が来るかもしれない。
ソロモンの栄華も一輪の百合の花に及ばないという古い言葉が、今の自分には以前とは少しばかりちがった意味に聞き取られるのである。[#地から1字上げ](昭和七年十月『中央公論』)
底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店
1997(平成9)年6月5日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:Nana ohbe
校正:noriko saito
2004年12月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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