かなか急には得難いので、ここではまず最初の試みとして東京天文台編「理科年表」昭和五年版の「本邦のおもな火山」の表を採ることにする。これは現在の目的とはなんの関係なしに作られたものであるから、自分の勝手がきかないところに強みがある。これを採用するとした上で山名の読み方が問題となるが、これは「大日本地名辞書」により、そのほかには小川《おがわ》氏著「日本地図帳地名索引」、また「言泉」等によることにした。それにしても、たとえば海門岳《かいもんだけ》が昔は開聞でヒラキキと呼ばれ、ヒラキキ神社があるなどと言われるとちょっと迷わされるが、よくよく考えてみるとむしろカイモンが始めであろうとも考えられる節があり、千島《ちしま》のカイモンと同系と考えるほうがよさそうにも思われ、少なくも両方に同等の蓋然性《がいぜんせい》がある。それでこれらもすべて現在の確実な事実としての名だけを採る事にする。千島の分だけはいろいろの困難があるので除き、また台湾《たいわん》、朝鮮《ちょうせん》も除く事とする。
さて Aso, Usu, Uns(z)en, Esan の四つを取ってみる。これはいずれも母音で始まり、次に子音で
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