始まる綴音《てつおん》が来る。終わりのnは問題外とする。
一般に母音で始まり次にいずれか任意の一つの子音の来る場合が火山の表中で何個あるかを数えてみる。この数を N(VC) で表わす。するとこの中である特定の一つの子音、たとえばSならSが出現するという事のプロバビリテーはいくらか。この確率は可能な子音の種類の数(Qとする)の逆数となる。それで全然偶然的暗合ならば現われるべきこの型の火山名の数nは N(VC)÷Q になるはずである。しかるに実際にはこの特定型のものがm個あるとする(アソの場合では m = 4 )。さすれば
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R = 実際数m/偶然数n = mQ/N(VC)[#「実際数m/偶然数n」「mQ/N(VC)」は分数]
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なる比が大きいほど暗合でないらしい、何か関係があるらしい確率が増すのである。少なくもm個のうちの若干は互いに関係がありそうだということになるであろう。もっとも厳密に言えばこのほかに日本語の特徴としてはこのような組み合わせの現われる一般的の確率を考慮に入れるべきであるが、これは容易でないからしばらく度外視する。
子音数Qをどう取るかがかなりむつかしい問題になるが、「アソ」の場合は、かりにこれを9と取る。すなわち(k, g)(s, z)(t, d)(n)(p, b, h)(m, b, mb, np)(y)(r)(w)の9とする。また山名としては山・岳・島・登・ヌプリ・峰等の文字を引き去った残りだけを取り扱う事にする。ただし白山《はくさん》・月山《がっさん》はそのままに取る。またシラブルの終わりのnは除外することにする。
まず歴史時代に噴火の記録のあるものだけについて見ると N(VC) = 8 である。(ただし硫黄、岩雄も iwo, iwao としてこの部分に算入する。すなわちわざと都合の悪いほうを選ぶのである。)さすれば R = 4×9÷8 = 4.5 となる。少し虫のよい取り方をして硫黄、岩雄を Yuwo, Yuwao と見て除けば N(VC) = 4 となり R = 9 となる。
次に消火山活火山をも合わせて取り扱う場合には、N'(VC) = 11 となり、R = 3.3 に減ずるが、硫黄・岩雄の頭がyなる子音だとして、このアソ型から除けば R = 5.1 となる。
次に Koma(駒《こま》が岳《たけ》), Kaimon, Kume(久米島《くめしま》), 〔Kimpu(Kibo^)〕, Kampu, Kombu, Kamui を取れば m = 7 である。この場合は子音始まりで子音二つの場合として、一般の子音二つのものの数 N(CC) を求めると、消火山も入れてであるから N(CC) = 48 である。ここでも子音数をQとする偶然の確率は 1÷Q(Q-1)(ただし子音二つが異なるとして)であるから
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R = mQ(Q-1)/N(CC)[#「mQ(Q-1)/N(CC)」は分数]
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Q = 9, m = 7, N = 48 であれば R = 10.5 となる。活火山だけだと m = 2 なる代わりに N = 14 となるので R = 10.3 でやはりほぼ同値となる。いずれにしても偶然の場合とは桁数《けたすう》がちがって多い。この場合でも一般の日本語に km なる結合の起こる確率を考慮に入れて補正すればよいが、これはしばらく省略するほかはない。しかしこれは現在の場合結果の桁数を変えるほどの影響がありそうもないことは少しあたってみてもわかると思う。
Turumi, Tarumai, Daruma の場合は、活火山だけだとタルマイ一つ、すなわち m = 1 で統計価値があまりに少ないから、消火山も入れて n = 3 の場合を考える。この場合は子音三つであってNの最多数な場合である。それでもしこの場合の数 N(CCC) を現在の表中の火山の総数に等しいと取れば、これは結果のRを少なくするほうの取り方であるからこれで得られたRが大きければ、ほんとうはもっと大きい事になる。それでかりにそうしてみる。さすればこの場合 N(CCC) = 167, m = 3 また子音三個の組み合わせの順列の数は 9×8×7 = 504 であるから、R = 3×504÷167 = 9.0 強となる。
鳥海山はトリノウミと言ったらしい形跡があるので、これも入れるとするとRはさらに四分の五倍だけに増すわけである。
次に問題になるのは 〔F(H)uz(d, t)i, Hiuti, Kudyu^, Ko^du(sima), Kuti(no sima)〕 の類である。KとHは日本語でもしばしば転化するからここではかりに同じと見て、次のよう�
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