ネ子音分類をする。すなわち(k, g, h, f)と(t, d, s, z)とを対立させると子音群数は Q = 7 となる。この場合 N(CC) = 48 であって m = 9(火山名略)であるから R = 7.6 となる。
次には Yuwoo, Yuwao, Yufu を取り三つの「硫黄《いおう》」を名とする火山を三つに数えると n = 5 となり、子音数9とすれば R = 5×72÷47 = 7.5 となる。
以上の場合に得たRの価はいずれも1に対して相当多いものである。従って単なる偶然と見る事は少しむつかしく思われて来るのである。もちろんこれらが全部関係があるということは言われないが、これらのうち若干は連関しているであろうということを暗示するには充分であると思う。それでもし偶然でないとすれば以上にあげたような言語要素がいろいろな形で他の火山名の中にも現われていはしないかと思われる。また一方で同じ要素が南洋その他の方面にありはしないかと思われる。また南洋の言語中には従来の言語学者の説のごとく世界じゅうの言語が混合しているとすれば逆に遠い外国の意外のへんにも同じ要素が認められはしないかという疑いが起こる。それで試みに同型の疑いのある火山名を次ページの表に列挙して将来の参考に供しておきたいと思うのである。中には現在の形での意味がかなり明白だと思うのがあってもかりに除かないで採録しておくことにする。(外国火山名はおもにウォルフによる。)
[#ここから表組]
第一表
アソ・アサマ型[#底本では、以下の(本邦)と(外国)を並べた表となっている]
(本邦)
Aso
Usu
Unsen, Unzen
Esan
〔Unsyo^(阿蘇の峰名)〕
〔O^zyo^( 〃 )〕
Osore
Rausu
Rausi
Rasyowa
Gwassan
Bessan(白山の一峰)
Buson
Nasu
Kasa
Kesamaru
Asakusa
Asitaka
Asahi
Usisir(千島の宇志知)
Asama
Aduma, Azuma
Sanbe
Sambon
Sumon
Samasana(火焼島)
Shumshu
Shimshir(千島の新知)
Izuna, Iduna
Udone
(外国)
Uson(カムチャツカ)
Assongsong(マリアナ)
Az
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