るが。それにかかわらず教科書とノートばかりをたよりにする学生がかなり多数である一方には、また現代既成の科学を無視したために、せっかくいい考えはもちながら結局失敗する発明家や発見者も時々出て来る。

 名所旧跡の案内者のいちばん困るのは何か少しよけいなものを見ようとすると No time, Sir ! などと言って引っ立てる事である。しかしこれも時間の制限があってみれば無理もない事である。それでほんとうに自分で見物するには、もう一ぺんひとりで出直さなければならない事になる、ただその時に、例の案内者が「邪魔」をしてくれさえしなければいい。
 しかし案内者や先達《せんだつ》の中には、自己のオーソリティに対する信念から割り出された親切から個々の旅行者の自由な観照を抑制する者もないとは言われない。旅行者が特別な興味をもつ対象の前にしばらく歩を止めようとするのを、そんなものはつまらない[#「つまらない」に傍点]から見るのじゃないと世話をやく場合もある。つまる[#「つまる」に傍点]とつまらない[#「つまらない」に傍点]とが明らかに「相対的」のものである場合にはこれは困る。案内者が善意であるだけにいっ
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