ままといっても、しかし、何でもかでも横紙を破り、破目を外し、メチャクチャになれというわけではない。例えばモンテエニュ、彼が自分を語ろうとして自分の内部へはいって行った時、土足のままだったが、足音はしずかだった。ただ僕らはかつて僕らが忘れていた「人間」を、僕らの文学の中へ呼び戻すために、まずモンテエニュあたりから勉強のし直しをはじめるとしても、しかし、今日僕らの文学の足音が少しは乱暴に高鳴っても、致し方はあるまい――ということだけは、今ここで言い切れると思う。



底本:「定本織田作之助全集 第八巻」文泉堂出版
   1976(昭和51)年4月25日発行
   1995(平成7)年3月20日第3版発行
初出:「文学雑誌」
   1947(昭和22)年1月
入力:桃沢まり
校正:松永正敏
2006年7月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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