に、「二度と再び『オリンピア』……」云々といったそうである。だから、運転手の想像によると、撲った男はいろおんなを豹一にとられたのか、それとも「オリンピア」に頼まれてやったのかどちらかだというのであった。それをきいて多鶴子はなにか自分の責任を感じた。だから、「看病」の義務はあると思った。ひとつには、女中が豹一を看病することに異常な情熱を見せたので、多鶴子はなにか気色を損じ、女中に任せきりで置くというわけにいかなかったのである。
可哀相に豹一は氷枕をあてがわれた。飛びあがるほど冷たかったのと、そんな風に病人扱いにされる恥しさのため、豹一は到頭熱を出してしまった。多鶴子は看病の仕甲斐があったわけである。彼女はすっかり疲労してしまった。
女中は自分が看病出来ぬので、すっかり多鶴子に嫉妬を感じた。女中は漠然とした不安を抱きながら、眠った。
この不安は適中した。恥しさのため腹を立てんばかりに逆上してしまった豹一と、疲労のために日頃の半分も理性が働かなかった多鶴子は、ありきたりの関係に陥った。
戸外は小雪だった。
二
昔なら、たとえば平安時代なら、美貌の男女の関係を述べるの
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