で、窓硝子に顔をすりつけて外をながめた。しとしとと雪が降っていた。視線がぼやけた拍子に、だしぬけに感傷的になって来た。
土門は例のいらいらした手つきで、煙草の端をちぎっていたが、ふいに言った。
「おい! そんなしんみりした顔をするなよ」豹一の顔を嬉しそうに覗きこんだ。
「雪を見てるんです」言いながら、遠いハーモニカの音をきくような気がふっとした。夏の黄昏の時間が、雪を見ている豹一の心を流れた。
「あははは……。雪を見てるというか? なるほど、東銀子に惚れたな」
やっぱり見抜かれたかと、豹一は赧くなった。しかし、土門はもともと敏感な男だったが、いまは他人の心など計るような面倒くさいことはしなかった。土門がそんなことを言ったのは、じつは次の言葉を出すためのまくら[#「まくら」に傍点]に過ぎなかった。
「惚れても駄目でっせ。いまのおれの電話をきいたか? 東銀子はもうあかん。一眼この眼で見ればわかるんだ。今日の東銀子の踊り方を見た途端に、おれは諦めたね。ああ、東銀子も失われたかとね。へ、へ、へ」土門の笑いは豹一の心をますます重くした。
「珈琲もう一杯のみましょう!」
「ああ、飲もう。よくぞ
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